初恋
「飯島さん、ちょっといいかしら?」

「はい」


担任の戸田 愛海。

よく笑うのが長所

生徒をきつく叱れないのが短所


連れられた先は校長室。

「失礼します」

先生の後に続いて

「失礼します」


何も言われることはないと

思っていた。


「飯島さん…」

校長が私の名を呼んだ

「はい」

「君は家に帰っていないそうだね」

「…」


返す言葉が見つからない


「本当なのかね?」

「はい」

「理由は?」

「言えません」

言えるわけない

親に暴力を振るわれ

見捨てられた事なんて…

一生言えない


「そうか」

「はい」


「住むところはあるのか?」


「はい」


「そうか、なら良かった」

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