拾ってください!
冷や汗をダラダラ流していると不良さんは気にもとめていない様子で私の問いに答えてくれた。




「捨てられてはいない、けど拾って、ほし、い。」


「成瀬に。」



そう言って眉間にしわがよったままジッと私のほうを見る不良さんは本当に捨てられた犬のようだった。




・・・大丈夫かな?私の目・・・。


不良さんの言っていることは意味が分からないけど、さっきとはうって変わって拾ってあげたくてしょうがなくなってきた。


昔からから困ってる人とか捨てられた小動物とかを放っておけない性格なのは自分でも分かってたけど、

まさかここまでひどいと思ってなかった。




「放っておけない」

という気持ちと


「関わりたくない」

という気持ちの間でグラグラ揺れていたが



「拾って、成瀬。」


という言葉+ジッと見つめる瞳にいとも簡単におちてしまった。




「・・・・・・はい。」




自分のお人好しさに乾いた笑いを浮かべながら返事をすると勢いよく不良さんは立ち上がった。



なぜか私の返事にびっくりしている。


目がすんごい開いてる。
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