拾ってください!
「本当か・・・?成瀬・・・。」




どうやら本当に「はい。」と言われるとは思ってなかったらしい。



「あー・・・はい、そうですね・・・。」



拾うって具体的にはどうすればいいのか分からないんだけどね。


言ってしまったからにはしょうがない。

案外いさぎよいな自分。




瞬間、さっきのしかめっ面が嘘の様に不良さんはフッと笑った。


う・・・嬉しそう・・・


本当にワンコみたい・・・




「俺は、五十嵐 麓(いがらし ろく)。好きに呼んでくれてかまわない。」



柔らかい表情のままそう告げた不良さん。




五十嵐 麓・・・


ワンコ・・・


いがらし ろく・・・


ワンコ・・・


らし、ろく・・・



「・・・シロ。」


おー!ワンコっぽい!!


「・・・シロ?」



不良さんのワンコっぷりにやられて油断しきっていた私はつい考えていたことを口からポロッと言ってしまった。



不思議そうに反復されてそのことに気づいた私は一気に血の気が引いていく。





やばいやばいやばい!!


何言ってるんだ!私!!


シロとか言われたら普通の人でも怒るでしょっ!!


どうしよう・・・機嫌を損ねる前に謝らなきゃっ



「あの、そうじゃなくてっ、

「シロでいい。」
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