拾ってください!
シロさんはそう言って、私が声をかけられたことにびっくりして固まっている内に鞄をひったくるように奪い、手首を肩に置くようにして二個の鞄を持った。


「あ、あの!自分の荷物くらい持てるので、持っていただかなくても大丈夫です!!」



天下の不良様に私ごときの荷物を持ってもらうなんて恐れ多い!!


第一、鞄なんて毎日持っているから今更苦でもなんでもない。



私に鞄を取り返されないようにスタスタと前を歩いていくシロさんの服の裾をひっぱり慌てて告げる。



あ、立ち止まって振り向いてくれた。


「・・・・・・。」



しかし、無言でこっちをジッと見つめているんですがなぜでしょーかね。


一向に鞄を渡してくれそうにないし・・・。



「え、あの・・・その・・・。」



無言で見つめるシロさんの視線に耐えきれずにおろおろしてしまう。


視線が痛い・・・本当に。

なにか私に刺さってませんか?大丈夫ですか?



何もしてくれないシロさんに困って、チラッと目線をあわせてみると、その瞬間にシロさんの空いていた右手が私の顔にとんできた。
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