エリートな彼に甘く奪われました
俺達は簡単なトーストとサラダの朝食を済ませ二人揃って彼女の部屋を出た。

彼女のマンションは歩いて会社まで行ける距離にある。

ふと隣を見下ろすと並んで歩いている筈の彼女が俺の半歩後ろで小走りしている。

…あ、俺の歩幅と違うのか。

俺は足を止めて顔だけ彼女を振り返り手を後ろに差し出した。

そんな俺に気付いて、小走りが大変だったのか息を少し切らしている彼女がニコッと笑った。

そして俺の手をそっと握ってくる。

可愛くて、可愛くて、この手を絶対離さない、とまた強く思う。

俺達は互いの手を絡ませる様にしっかり繋いでまた歩き出した。

「会社が近くなったら離すから。

しばらく、いいよね?」

彼女に問うと小さく頷いた。






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