エリートな彼に甘く奪われました
「あ、あの…、安東さん、私ね、」

彼女が何かを言いかけた時、それを遮る様にまた彼は話し出した。

「昨晩は大変だったんだよ、浅香くん。
君が戻らないから女の子達が騒いでしまって。
みんな君と話したくて来てくれてたからね。」

彼はそこまで言うと急に真顔になった。

「それで、君はあれからどうしていたの」

彼は俺の心の中を読み取ろうとするかの様に、ゆっくりと真っ直ぐに俺を見ながら尋ねてくる。

俺は気持ちを探られる理由が分からず多少のイラつきを感じた。

愛との間に何かがあるかも知れない男。

愛を失う事が怖くて真意を問い正す事が出来ない自分。

「七瀬さんと、ずっと朝まで一緒にいました。」




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