エリートな彼に甘く奪われました
「俺はいい加減な気持ちじゃ誰とも付き合わない」

「たとえ君の言う事が本当だとしても、愛は譲れない」

「………!」

「安東さん…そんな」

「おっと、そろそろ行かないと。会議なんで先に行くよ。話の続きはまた今度。
じっくり話をしよう」

腕時計を見ながらそう言うと先輩は踵を返してさっさと歩き去った。

二人きりになって改めて愛を見下ろすと彼女は目に涙を溜めて俺を見ていた。

「遼…、」

「愛、彼とは一体どういう関係なの?」

「あ、あの、私…」

「安東さんの事が好きなの?」

「ち、違うわ、今は…」

「今は?じゃあ前に好きだったの」

「半年ほど前までは…。
どういう関係かって、あの…、私の初めての人なの」

「え、じゃあやっぱり…」

「あの、…付き合った事はないわ。私の一方的な想いだった。

…お願いしたの、一度でいいから、って」

「………!」






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