エリートな彼に甘く奪われました
「安東さん、私、ずっと前からあなたが、好きなの」

「え?」

首都圏の夜景が眼下に拡がるホテルのラウンジ。

私はカクテルと夜景の甘さに酔っていた。

「愛、飲み過ぎだ、ほら、帰るぞ」

彼が私を抱える様に立ち上がらせエレベーターに乗る。

私は彼にもたれ掛かりながらその横顔を見ていた。

タクシーに乗り込み私のマンションに着くと、彼は運転手を待たせて私を部屋まで連れてきた。

「じゃ、俺、行くから」

そう言って立ち去ろうとする彼の首に腕を回して抱き付く。

「好きって、言ったのに、このまま…帰るの?」

「…!お前は酔ってるから、」

彼が困った様に私の腕をふりほどく。

「好きなのよ!昔から!どうしてそんな風に言うの!…帰らないで」

「お、おい!何言って」

「わかってるの!私を好きではないって…!
これきりでもいいから…。お願い…。」

「ごめん、お前は、妹みたいなもんだ。
それは…変わらないよ?」

私はコクりと頷いた。

「ちょっと待ってて」

彼は玄関を出てエレベーターを降りて行った。

しばらくしてからタクシーのエンジン音がして遠ざかっていく。

そして戻って来るなり、私を抱き上げてベッドへ連れて行き、そっと下ろすと覆い被さってきた。

< 153 / 236 >

この作品をシェア

pagetop