エリートな彼に甘く奪われました
「愛が最後まで話を聞いてくれてたら、君に好きだって伝えるつもりだったよ」

「ごめんなさい、私…」

「いや、いいんだ。
俺は卑怯だったよ、君を手に入れる為に、家族を巻き込むところだったよ」

「安東さん…」

彼は私を見て微笑みながら私の肩にそっと手を置いた。

「最後に、一度だけ、…抱き締めても、いい?」

そう言って私を引き寄せた。

彼の気持ちが痛く、切なく流れ込んで来る。

「安東さん…」

私はそっと彼の背中に手を伸ばした。


その時、夕日の沈んだ海から強い風がびゅうっ、と二人に吹き付け髪を揺らした。

彼の肩越しに黄色い高速バスが走り去るのが見えた。






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