エリートな彼に甘く奪われました
「遼、ごめんなさい」

「ん?どうしたの、何で…」

「私、あなたと離れたくない。あなたが好きだから」

「……」

遼は首を傾げて私をじっと見ていた。

「俺を好きなのは知ってる」

にこりと笑いスーツケースに手をかけて時計を見る。

「じゃあ、行くよ。
気を付けて帰るんだよ」

軽く屈んで私の頬に唇を触れると彼はにこりと笑って歩き出した。

ゆっくり遠ざかる彼の背に私は思わず叫んだ。

「遼!、私、大丈夫だから!遼を信じてるから。待ってるから」

彼は足を止めてゆっくりと振り返り、私を見るとふわりと今まで以上に魅力的な笑顔を見せた。

やがてそれからしばらくまた歩いてエスカレーターに乗ると吸い込まれて行く様に姿を消した。








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