エリートな彼に甘く奪われました
引きずる様に荷物を降ろし正面の自動ドアをすり抜ける。

昼休みに差し掛かっていた本社の玄関ロビーには沢山の社員が行き交っていた。

突然、血相を変えて飛び込んできた俺をみんな呆気に取られて見ていた。

「きゃー、浅香さんだよ」
「今日帰りだったっけ」
「いやー、久々に見たー」
「何か慌ててるわね」
「少し日に焼けたんじゃない」

辺りから聞こえる会話を聞き流しながらエレベーターのボタンを押す。

俺が真っ先に向かったのは庶務課のあるフロアだった。





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