エリートな彼に甘く奪われました
エレベーターから降りて勢いよく庶務課に向かって歩き出す。

すると向かい側から安東さんがこちらに向かって歩いて来るのが見えた。

「浅香くん」

「お疲れ様です」

俺は一旦立ち止まって軽く会釈をしてから再び歩き出そうとした。

「愛なら課にはいないよ」

「え？」

「体調が悪いみたいで…。先ほど早退したから」

「え、具合悪いんですか」

「うーん、疲れたんじゃないかな…」

意味深な言い方にイラッとくる。

そんな俺の表情を見て先輩は話を続けた。

「だから俺は初めに言ったんだよ。君は彼女を苦しめるって。

でも愛がそれでも君を選んだのだから俺がとやかくは言えないけどね」

「……。

教えてもらえませんか？
彼女に何があったのか」

「聞いてないの？
そうか、君に心配かけたくなかったのかな。

でも、慌てて日程を変えて戻って来たところを見ると君もどうやら本気の様だ。

…まあ、君の予想通りの展開さ。

女の子達が愛を妬んで色々と意地悪してるんだよ。

ただ、森山さんが愛を庇ってだいぶ落ち着いたけどね」







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