エリートな彼に甘く奪われました
「森山が…。
そうですか。
とりあえず俺、愛の様子を見に行ってきます」

「そうだね。

えっと、早退でいいのかな。伝えようか」

「あ…はい。お願いします」

安東さんは俺の肩をポンと叩きニコリと微笑んだ。

…任せたよ…。
安東さんがそう言ってる様に聞こえた。

俺が引き返してエレベーターの前に戻ると森山が待っていたかの様に立っていた。

「あの…、私…。


この前はごめんなさい!
私…、必死で、どうかしてたの。
私は別に七瀬さんが嫌いとかじゃなくて…。今は二人の事、応援してますから!」

「顔を上げて、森山」

頭を下げたまま話す彼女の肩をそっと持ち上げた。

目に涙を浮かべて俺を見上げる。

「愛の事、庇ってくれたんだってね。ありがとう。誰も君を責めたりしないよ」

「浅香さん…。


い、いいえ、そんなたいした事じゃないの。あの人達があんまりだったから…。

七瀬さんの足を引っ掛けておいて、気を付けてなんて言うから、私、つい…」

そんな酷い事態だったのか…。

今更ながら唖然とする。

「いいから、早く行ってあげて下さい。

それと、私…、西山くんの事をこれから少しずつ、考えていきますから…。

後で浅香さんが後悔しても、もう相手にしないんだから。」







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