エリートな彼に甘く奪われました
俺が頭の中で色んな事を考えながら、封の切れていない新品のその箱を手にじっと眺めていると、

「あ、あの…、何か変な誤解をしてませんか?
そ、それは母が私にくれたもの…なんですけど」

お母さん?

「は…母が、好きな人ができたら、気を、付けなさいって…、先日置いていったんです」

「………。」

本当だろうか…?

独占欲の表れなのか、彼女を疑り深くなっている。

どうしても安東の顔がちらつく。

この箱の中身で彼が、と思っただけで胸が裂かれそうに苦しくなる。

俺がたった今触れた全てを知っている奴がいる。



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