Sky heart
すぐ分かった。
それはお母さんの悲痛な泣き叫び声。
耳を劈くようなその悲鳴に近い声に、あたしはビクリと体を震わせる。
あたしに抱きついているのはお母さんだとすぐに理解した。
あたしは今にも閉じてしまいそうな、重い瞼を必死に開く。
ダルくて首が動かなかったから、視線だけをゆっくりと右から左へと移していく。
お父さん。
お母さん。
お姉ちゃん。
看護師さんもいた。
ツンっと鼻をさす消毒液のにおい。
ここは病院だということを、すぐ理解することができた。
お母さんは大泣きしながら、あたしに抱きついている。
ふわっと鼻をかすめる洗剤のにおい。
嗅いだことのないにおいだから、洗剤を変えたんだろうと思った。
脳の回転がいつもより遅い。
もともと早いわけではないけれど、今日のは相当。
でも重要なことはすぐに理解できる、というあたりがあたしらしいのかもしれない、なんて長所を発見してみたり。
そんな場合じゃないのは承知だけれど。