Sky heart
看護師さんはあたしを見て、安心したような笑顔を残して静かに病室から出て行った。
すすり泣く音だけが残る。
辛い沈黙。
悲しい音。
まださっきの靴の音と鉄の音が生み出す音の方が良かったな、なんて思ってしまう。
触れられるのはコワイ。
心を触られるのは、コワイ。
一度〝コワイ〟と思ってしまったら、もうどうしようもなくなってしまった。
あたしは人間に作られた人形のように口を開け、台詞のような口調でその言葉を吐き出した。
「…ごめんなさい」
静かに目を閉じた。
誰も、何も言わない。
辛い沈黙だけが、降ってきた。