プラトニック・ラブ




負けるわけにはいかない。


だってついさっき美沙と約束をした。



ここを退学になるわけにはいかないんだから…。




あたしの強気な言葉を聞いたソイツはふっと柔らかく笑った。


危機的状況の中で、この人こんな風に笑えるんだ…なんて不謹慎なことを思ってしまった。


それくらいあの屋敷の中と今とはギャップがありすぎて。




「威勢の良い子は嫌いじゃないよ」




そう訳の分からないことを言ってから決定的な事実を述べた。




「監視カメラがある」




それはあたしをドン底へと突き落とす言葉だった。


そのまさかの展開に、思わず冷静さを忘れ、



「何だとっ?!」



櫻井グループの息子なんてことも忘れたあたしは、失礼極まりない言葉遣いをしてしまった。


数秒前までの強気を失った慌てふためいたその言葉に、ソイツは何が面白いのか笑う。



…馬鹿にされてる。




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