プラトニック・ラブ
気づかなかった。
まさか監視カメラがあるなんて。
しかしよく考えてみれば、トップクラスの櫻井グループの家に監視カメラがないはずがない。
しかもあんな誰でも通るような通路なんて付けられていて当たり前。
おいおいおい。
あたし本当にこのまま退学で終わり?
早速美沙との約束を守れなかったわけ?
そんなのって…。
諦めがつかない。
美沙の悲しむ顔が浮かんでくる。
お母さんだって悲しむに違いない。
このまま事実を認めて退学なんてできない。
「ちょ…っ、マジ勘弁してくださいっ!!」
さっきまでの威勢はどこへ消えたのか、残された術はすがる事だった。
何をどう頑張っても、この人には勝てない気がしたから。