プラトニック・ラブ
するとソイツはオバちゃんの言葉を無視し、視線をあたしの持っている作文用紙へと移して尋ねた。
「これは何でしょう?」
あたしの腕を掴み、持っていた作文用紙を見せ付ける。
あたしはされるがままのマリオネット状態。
ここで頭を使い、何もしないほうがいいと瞬間的に思ったあたしは、静かに黙っていることにした。
オバちゃんはしどろもどろになりながら、必死で言葉を紡ぐ。
「あ…えと、反省文を書かせようかと…」
「そうですか」
…おい待て。
オバちゃん、お前は一体誰だよ?
ソイツは一瞬あたしを見て、最初あの場所で見たような、何も語らない無表情な顔で言った。
「父も特に気にしていないですし、こういうことはしなくて結構ですよ」
それはあたしにとっては天使の囁きだった。
けれど同時に顔を上げてソイツを見た瞬間、背筋に鳥肌がたって唾を必死に飲み込むことしかできなかった。
冷たい瞳。
それがあたしの心臓を鷲掴みにし、呼吸困難へと導く。
こ…怖い。