プラトニック・ラブ
「あたしが騒いでたとき話してたのって社長さんだったのか…」
だから何となくどこかで見たことのあるような顔だったのかと納得できた。
なんて考えているけれど、そんなノホホンとしている時間はない。
一刻も早くコイツの傍から離れなければ大変なことが起こってしまう。
「し、失礼しましたっ!!」
逃げるが勝ち。
現段階の状況をもみ消すにはそうするしかないとそう思ったあたしは、階段へ一直線に駆け出そうとした。
が、
―――――――がし。
「逃げられると思うなよ?」
天使の囁きの次に待っていたのは、もちろん悪魔の囁きだった。
ドスのきいた低い声。
逃げる気満々で駆け出そうとしていたあたしは、その声と同時に肩を掴まれ逃げられなくなってしまった。
…やっぱりそうですよね。