プラトニック・ラブ



そいつは無表情なままで頬杖を付いてあたしを見つめていた。


その表情に笑みは含まれていなくて。




「理由を聞かせろ」




この言い方はまるで〝金が欲しかったとかくだらない理由だったら即退学だ〟とでも言いたそうだった。



…理由。



あたしの理由はちゃんとした理由になるんだろうか。


それともただの言い訳になってしまうんだろうか。



違う方向で捉えられたら、ただ金が欲しかっただけになってしまう。




退学になるわけにはいかない。


絶対にそれだけは。



勘違いされないように、あたしは全て自分の状況と気持ちを話した。




貧乏なこと。

お父さんがいないこと。

お母さんが体を壊したこと。

全額免除でこの高校に入学したこと。

お母さんや妹のために働いてお金が欲しいこと。

そのために自給の良かった櫻井グループのお手伝いをしていたこと。



伝わっているのかどうか分からなかったけど、あたしが話している間、ソイツは何も言わずにただあたしを見つめながら訊いてくれていた。




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