プラトニック・ラブ
「あぁ、あっちは親父の。 こっちが俺の」
…What?
あっちの家が親父用で、こっちの家がコイツ用?
…Why?
あたしはあんぐりと口をだらしなく開けたまま停止。
普通は1つの家に住むんじゃないのだろうか?
もしかしてそれは貧乏の家だけなのか?
いやいやいや、そんなことはないでしょう。
どこだって家は1つだ。
ぐるぐるぐるぐる。
脳内を駆け巡るのはハテナマーク。
おいおいおい、櫻井グループの身内の人の自分の部屋は一体何平方キロメートルあるんだい?
自分の部屋というもの自体が存在しないあたしみたいな野郎には、到底理解できないことだった。
「驚いた?」
そう言って笑うソイツの感覚はオカシイ。
いやこういう場合って逆にあたしがオカシイことになるのか?
あたしは口と目を半開き状態のまま頷くことがやっとだった。