プラトニック・ラブ
信じられない現実を目の前にして驚くことしかできない。
何一つ言葉にしないまま、あたしは静かにソイツについて行く。
玄関のオシャレなドアを開け、ソイツの家らしい家に入る。
靴を脱ぐと、用意されていたスリッパを差し出されたから遠慮気味に借りることにした。
大きなドアを開け中に入り、真ん中にある大きめの階段じゃなく端にある螺旋階段を上って行く。
羨ましすぎる家に、あたしは目を左右上下にキョロキョロ動かして驚く。
す、すげー。
いいないいなっ。
こんな家に住めたらなんて最高だろう。
願わくば、あたしだってこんな家に住んでみたい。
ずばり興奮状態だった。
見えるもの全てが素晴らしく見えてしまう。
赤ちゃんに戻ったかのようだった。
キョロキョロと、それこそ変質者のように辺り一面見渡すあたしに、ソイツは小さく笑った気がしたけれど気にしないことにした。
どうせあたしはしょうもない貧乏人だ。