プラトニック・ラブ
慌てながら早口言葉状態で、
「お母さんお母さん! お風呂のお湯が溢れ出しそうだよ!」
そう言うと用意してあったバスタオルと下着、パジャマを持って再び走って行ってしまった。
そんな瑠子の背中にお母さんは声をかける。
「瑠子ー、お母さんも行くよー」
そう言うとお母さんは立ち上がった。
あたしは少し顔を上げ、お母さんを見つめる。
ねぇ、何か言って。
なんでもいいから―――何か。
そう思っていると、お母さんはあたしを見ないで言った。
「お母さん達のことは気にしないでよ?」
「…え?」
あたしは弾かれたように顔を上げる。
お母さんは上からあたしを見つめていた。
その目は見たこともないくらい真剣な瞳だったからあたしは少し驚いた。