プラトニック・ラブ



「結婚は一生もん。 お母さんのためとか、瑠子のためとか、そんな理由で結婚するなら許さない」



お母さんはそう言うと風呂場へと向かって行ってしまった。


あたしはお母さんの背中を見つめたまま、何も言えずに座り尽くすしかなかった。



―――許さない。



そんな突き放すような言葉を、あたしは始めてお母さんの口から訊いたような気がする。



〝結婚は一生もん〟


そんなこと言われなくても知ってる。



分かってる。



本当の本当は結婚なんてしたくない。


彼氏がいたことがないのに、いきなり夫なんて嫌だ。



カップルという関係でデートしたい。


手を繋いだり、キスをしたりだってしたい。



それなりに、あたしだって理想はある。



けれど。


けれど、ね。




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