プラトニック・ラブ



――――7日目。



あの日から一週間後。



夜6時半。


家の電話が鳴った。



『マンションの前にいる』



あたしは折りたたんだ婚姻届を見つめる。


そして顔を上げ、意を決してあたしは言った。



「今…行きます」



そう言うと受話器を戻し、振り返る。



「来たっていうから、ちょっと出てくるね」



あたしはお母さんにそう言うと、履き古びたシューズを履いて外に出た。



右手に折り曲げた婚姻届。


しっかりとお母さんに書いてもらった〝許可〟。



お母さんは何も言わなかった。


あたしも何も言わなかった。



きっと…お母さんは気づいてる。





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