プラトニック・ラブ
近すぎる。
いきなりこれは辛い。
手を繋ぐってことがまず第一歩なのに、後ろから抱きしめられるのはハードすぎる。
あたしの頭は偏差値70前後だけど、恋愛偏差値は10もあるか分からない。
あたしには彼氏がいたことがないんだってば。
これは迅さんに言うべきなのかどうなのか。
けれど何だか恥ずかしくて言えそうにない。
気づいてほしい。
硬直してるあたしの気持ち分かれよ、なんて。
「瑠璃」
ふと囁かれた言葉。
あたしの名前。
自分の名前を呼ばれて、ここまでドキドキと緊張するのは初めてだ。
「な…ななな、何ですか?」
警戒マックス状態の中、必死に言葉を紡ぎ出すあたしに、迅さんは微笑みながら訊いてきた。