プラトニック・ラブ
「面白い」
迅さんは再度そう言うと、あたしの体を解放してくれた。
嬉しいはずなのに、これを望んでいたはずなのに、何だか体が寂しくなった。
ゆっくりと振り返ると同時に声。
「楽しみにしてる」
「…え?」
さっきまでとはどこか違う声。
あたしは迅さんを見つめ上げ、視線が合わさったところで迅さんは口を開いた。
「日曜日」
そう言うと迅さんはあたしの頭を撫で、階段を下りて行ってしまった。
あたしは迅さんに触れられた自分の頭に触れてみる。
そうだよ。
本当の本当は不安だらけの緊張しまくりで、近くなる距離に恐怖心も溢れているけれど。
それでも、それでも。
「…あたしも…ちょっぴり楽しみ…なのかなぁ…」
この言葉は誰にも気づかれずに空気に溶けて消えた。