プラトニック・ラブ
今週の日曜日に引越しすることになってからの家は大変で。
と言っても特に大荷物があるわけでもないからみんなで協力したらすぐに終わった。
タンスや本棚などがなくなっているせいで、狭くてしょうがなかったはずの部屋がすごく大きく見える。
家の中の物はほとんどなくなっていて、もうここにはいられないんだってことを実感したらやっぱり悲しく寂しくなった。
「すごい部屋が大きく見える…」
「さっきねー全部持って行ってくれたんだよー」
寂しい。
けれど楽しみにしている自分もいる。
あんな大きな家に住めるなんて夢にまで見なかったことが現実になるなんて、やっぱり感激としか言いようがない。
こんな日をいったい誰が想像したというのだろう。
「ねぇ、瑠子は引越し楽しみ?」
「うん! あの家大きいよね!」
目をキラキラ輝かせながら言う瑠子は単純だなと思った。
そりゃそうか、まだ子供の中の子供だもんな。