プラトニック・ラブ
結婚してる、なんて噂になったら大変なんて話じゃない。
どうにかしても学校内の人には知られたくない。
こうなったら、殴って気絶させて殴って蹴って殴って殴って―――…
「顔がコワいんだけど」
「…ぬッ?!」
あたしは慌てて左手を頬に添える。
胸の前で固めていた拳を、気づかれないようにゆっくり開いていく。
まずいまずい…。
考えてることが危なかったから、相当気持ち悪い顔してたかもしれぬ…。
忍者にでもなって、窓から飛び降りでもできたら良いんだけど、生憎あたしは普通の人間だ。
そんな超人技ができるわけがない。
ボワンって白い煙でも出る玉みたいのがあればいいのに。
あたしは忍者になりたいでござる。
「んで、何で?」
「えー…っと、ですね…」
「あ、秘密のナントカってやつ?」
う、どうするか。