プラトニック・ラブ




眠そうにそう言う深谷に、あたしはお構いなしに言葉を続ける。



「昨日のことは…誰にも言わないで…」



「理事長の息子とのことか?」



「…うん」



何で? そう聞かないでほしい。


あたしが言ったくせにそう願ってしまう。



深谷は何かを察したのかどうなのかは分からないけど、小さな声で、



「…分かったよ」



そう言った。


それから深谷は何も言わなかった。


だからあたしも黙ったまま、放課後まで眠ることにした。



図書室の隅っこ。


肩を並べて眠るあたし達。



お互いどんな夢を見ているのかは知らない。


ただ深い眠りについたのはお互い一緒だった。





放課後。


あたし達2人は見事に見つかって何時間もお説教を食らうことは、このときのあたし達はまだ知らない。




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