プラトニック・ラブ
Chapter 4
キミの温度と
物凄くゆっくりとした動作でドアを開ける。
今まででのように思いっきり開けたりしたら壊れそう―――…んなわけはないけど、何だか慎重になってしまう。
あまりにもドアが大きくて、あたし自身が物凄くミクロサイズになってるような気分に陥る。
「た…ただいまー…」
空気に溶けて消えてしまいそうなほどか細い声しか出なかった。
あたしはそこで今更ながら思う。
ただいま…?
何かオカシイ気がする。
少しオカシイ気がする。
この豪華でお金持ちオーラをビシビシ放ってるところに、帰ってきて「ただいま」は何か変な感じ。
ただいまでごさいます?
ただいま帰りました?
ただいまでござる?
…何がいいのか分からない。