プラトニック・ラブ
「あ、ありがとう」
あたしはそのティーカップを受け取り、口元に持っていく。
同時にフワっと良い匂い。
「…りんご?」
甘い匂いが鼻を掠める。
りんごの紅茶?
「当たり。 アップルティーだよ」
英二さんはそう言って、自分用のティーカップを持ってくるとお母さんの隣に座った。
「…いただきます」
あたしはそう呟くとアップルティーを口に含む。
アップルティーを初めて飲んだからのせいなのかもしれないけど、物凄く美味しいと思った。
あたしは一口飲むとティーカップを机の上に置き、目の前に座る2人をチラっと見る。
ド貧乏と超お金持ちが並んでると絵にならないと思っていたけど、お母さんと英二さんは何故か絵になっていた。
これを言ったら亡くなった奥さんに失礼か…。
でも普通に夫婦なんじゃね? って思うほど似合っていた。