プラトニック・ラブ



「お口に合うかい?」



「え、あ、はい! すごく美味しいです!」



いきなり話しかけられたことに慌てて返事をする。


英二さんは「良かった」と笑って、アップルティーを口に含んだ。



再びティーカップに口を付ける。



何だかここはソワソワする。


居心地が悪い。



それはあたしの前にお母さんと英二さんが座っているせいじゃなくて、この家の造りのせいだと思う。



滑るんじゃないかって冷や冷やするほど、ピカピカに磨き上げられた床。


キラキラと輝きを放つ、規則的に設置されているシャンデリア。


あちこちにある、光を反射するほど埃1つない高そうな置物。



そしてあたしの足元。


フワフワの高級そうなカーペットの触り心地にすら緊張する。



足臭かったらどうしよう、とか。


いやスリッパ履いてるから平気かもしれないけど。



汗臭くないだろうか、とか。


深谷と走り回ったからなぁ…。



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