プラトニック・ラブ
「これキスするタイミングじゃね?」
いきなりそう言いながら迅が笑うもんだから、あたしは慌てて離れた。
「たたっ…タイミングって何?!」
かみっかみで怒鳴るあたしに、迅は当たり前のことでも言うかのように言った。
「キスするタイミングだったじゃん」
「キスにタイミングも何もあるの?!」
あたしは知らない。
キスをしたことがない、あたしにそのタイミングがあるのがどうなのか分かるはずがない。
キスにタイミング?
そんなもんあんのか?!
「あるだろうが」
「あるのか?!」
そんな言い合いの中、迅は突然一歩踏み出しあたしに詰め寄ると、
「キスしようか?」
なんて、あたしの頬に手を添えながら言ってきた。
伏し目がちに上から見つめられる。
あまりの突然のことに、あたしは動けずに目を見開くことしかできないでいた。