プラトニック・ラブ




「これキスするタイミングじゃね?」



いきなりそう言いながら迅が笑うもんだから、あたしは慌てて離れた。



「たたっ…タイミングって何?!」



かみっかみで怒鳴るあたしに、迅は当たり前のことでも言うかのように言った。



「キスするタイミングだったじゃん」



「キスにタイミングも何もあるの?!」



あたしは知らない。


キスをしたことがない、あたしにそのタイミングがあるのがどうなのか分かるはずがない。



キスにタイミング?


そんなもんあんのか?!



「あるだろうが」



「あるのか?!」



そんな言い合いの中、迅は突然一歩踏み出しあたしに詰め寄ると、



「キスしようか?」



なんて、あたしの頬に手を添えながら言ってきた。


伏し目がちに上から見つめられる。



あまりの突然のことに、あたしは動けずに目を見開くことしかできないでいた。



< 401 / 800 >

この作品をシェア

pagetop