プラトニック・ラブ
「そうだよ!! あたしに彼氏なんていたことないよーっだッ!!」
今までのドキドキが爆発した。
何が偉いのか分かんないけれど、偉い子ぶって言ってみた。
あたしはそこで一息吸うと再び叫ぶ。
「だからこうやって手を繋ぐこと程度のことでもドキドキしてしょうがないのッ!!!」
言葉と同時に手を振り解く。
そのまま迅の顔を見ないで早歩きで前に進みだした。
どこに行けばいいのかなんて分かんない。
でも今、このまま迅といたら心の中の不安を全てブチあけそうになるのが恐くて、あたしは床を見つめたまま歩いてる。
全ての気持ちを知られるのは恐い。
気づかれたくないことは沢山ある。
そんな歩き出したあたしの首元に、何かが絡んできた。
何、なんて考えなくたって分かる。
この匂いと―――体温。
「ごめん」
突如謝ってきた。
自然とあたしの足は停止する。