プラトニック・ラブ
このまま迷子にでもなってしまえば良かったのに、なんて頭の片隅で思った。
けれどあの部屋から厨房までは真っ直ぐ行って突き当たりを右に曲がるだけの簡単ルートだったので間違えるわけはない。
超方向音痴の人でも間違えないだろうルートを、方向音痴ではないあたしが間違えるはずがない。
間違えるはずないんだよ…。
「はぁ…」
あたしは大きなため息を零し、扉の前で足を止めた。
というか止まってしまった。
けれどあたしはそこで考える。
遅いとか怒鳴られたりしたらどうしよう。
そう考えると、ここでアタフタしている暇なんかないんじゃないかと思う。