プラトニック・ラブ



すると海さんは迅から離れ、あたしに再び寄って来ると、ふふっと小さく笑いながらあたしに囁いた。



「あたしと迅は幼馴染。 変な誤解をしないことっ」



そう言うとあたしの額をツンっと突いて「またね」と言って出て行った。



どうしてそんなことを言うんだろう? なんて思ったけれど、あたしの顔が不安っぽかったからなのかもしれないと直後に思った。


不安というよりも、ただ単純に気になっただけだけれど。



頬に手を当て、視線を下げる。



「………」



どんな表情をしていたんだろう。



何だか分からないけど、2人が並んだのを見た瞬間ドクンっと心臓が鳴った気がした。


けれどそれはいつものようじゃなくて、胸を圧迫されたような苦しい感じだった。



あたし…どうした?



初めて感じる胸の痛みに顔を顰める。


そんなあたしを見つめている迅は不思議そうな表情で、



「何考えてる?」



誰でもそう質問するであろうことを質問してきたもんだから、あたしは首を横に振って、何でもないとだけ言っておいた。



暫しウジウジ考えているうちに、前方から聞こえてきた音。



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