プラトニック・ラブ
ちょっと待ってくれ。
視線を上げ、真っ直ぐに視線を向ける。
カチャカチャほんの微かに聞こえる音。
それが一体何の音なのか―――気づいた瞬間、あたしは半端なく慌てた。
これどうやって食べんのっ?!
箸がない。
ナイフとフォーク、そしてスプーンしかない。
もちろんのことながら、こんなものを使ったことなど一度もない。
あたしは膝の上に両手を乗せたまま、じっと料理を玩味する。
どうすればいいんだろう。
やっぱり作法的な何かがあるんだろうか。
見つめてみる。
睨みつけてみる。
海老に殻付いてんだけど何で?!
恐る恐る視線を迅へと向けてみると、迅は何言わぬ顔で黙々と料理を平らげていく。
あたしどうする…。
超絶大ピンチが訪れた。