プラトニック・ラブ
「はい、口開けて」
ズン、と目の前に迫ってくるハンバーグ。
久しぶり―――もしくはこんな売ってるようなハンバーグは初めてかもしれない。
見ているだけで涎が垂れそうになる。
だからなのかもしれない。
あたしは何も考えずに口を開けた。
けれど口の中にハンバーグを入れて噛み始めた瞬間、
「間接チュー」
なんて面白そうに迅が言うもんだから、あたしは恥ずかしくなって小さくなった。
そんなこんなでやり方を教わりながら食べていく。
初めてのことばかりで覚えるのが大変だったけれど、これくらいはできるようにならなくちゃいけないと思っていたら、いつの間にか間接キスなんて忘れていた。
それくらい必死だった。
このくらい簡単にできるようにならないといけない。
「ねぇ迅」
「なに?」
1つ気づいた。
これだけは言っておかないといけないこと。