プラトニック・ラブ
すると突然視界いっぱいに迅の顔。
あたしは驚いて小さく悲鳴をあげた。
迅はソファの肘掛に腰掛けたまま、あたしの髪を梳きながら、
「眠いの?」
お目覚めのあたしに優しく訊いてくる。
あたしは焦点がいまいち定まらないまま、ボーっと遠くを見つめる。
どうやらあたしは部屋に戻ってフカフカのソファに寝転がっているうちに寝てしまったらしい。
目を擦りながらゆっくりと上半身を起き上がらせる。
そんな覚醒しきっていなあたしに、迅はバスタオルなどが入っている水玉模様のビニール袋を渡すと、
「寝る前に風呂行っておいで」
そう促した。
あたしはワンテンポ遅れてコクリと首を縦に振る。
しかしボーっとしているせいで足元がフワフワして歩き出せない。
そんなあたしの耳元で、
「一緒に入る?」
なんて迅は甘く囁いたもんだから次の瞬間には勢いよく覚醒し、
「け…っ、結構です!」
しっかり言い切った。