プラトニック・ラブ




「…あ、明日で16になります…」



海さんに訊かれたときと同じことを言う。



15歳と言ってもいいけれど、それだと中3に間違えられるかもしれないし、なにより16歳と言ってみたかったからそう言った。



それだけだ。



あたしの話に手を止めることなく、机に置いてあったスープをスプーンで優雅な動作ですくいながら、



「若いな」



そう言ってチラっと横目であたしを見た。



長めの前髪から覗く瞳はどこまでも続く漆黒のようだった。


その瞳に、一瞬だけ〝コワい〟と思ってしまったのはどうしてなんだろう。



あたしは何とかあがってしまわぬようにドキドキと緊張で高鳴る抑えながら、



「そ、うですよね」



今にも消えてしまいそうな、蚊の鳴く声といってもいいほど情けないくらい小さな声しか出なかった。




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