プラトニック・ラブ




顔を伏せようとしたとき、



「瑠璃っ!?」



床にペタリと力なく座り込む、あたしに優しい声が届く。



「…迅…」



迅を視界に捕らえたと同時に、目からは涙が止まることなく溢れ出した。


涙は頬を伝って床に落ち、カーペットに斑点模様を作っていく。



迅は慌ててあたしの元に駆け寄ってくると声をかけた。



「ど、どうした?! どっか痛い?!」



やっぱりあたしは甘えちゃう。


迅が優しすぎるから甘えちゃう。



出会った頃の迅は嘘のように消え去り、今はこんなにもあたしのことを心配してくれる。


迅はそんなすごく優しい人だと思った。



あたしは涙をボロボロと零したまま、嗚咽で言葉が出なかったから首をフルフルと左右に振った。



顔を見ただけで胸が温かくなる。


スッと何か、不安な感情が消えていく。



あたしは倒れこむように迅に体を預けた。



< 505 / 800 >

この作品をシェア

pagetop