プラトニック・ラブ
夫と妻。
彼氏と彼女なんて甘温い関係じゃない。
必要以上に足を突っ込まない夫婦もいるのかもしれないけど、多分あたし達はお互い相手のことを知ろうと足を突っ込もうとしている。
けれどお互い踏み込めずにいる。
あたしはそう。
多分迅もそう。
あたしはふと思った。
もしかすると迅は〝料理〟をきっかけに、近づこうとしてくれていたのかもしれないと。
もしそうだったなら、あたしは何てことをしてしまったんだろう。
「………」
上半身を起こす。
顔を上げて前を見る。
人との関係を維持するのは大変だ。
ゴチャゴチャと面倒な関係になるのは嫌。
けれど今はそんな感情はない。
あるのは焦り。
1つ間違えれば戻れなくなる。
傍にいて欲しい。
そう願うのなら―――…