プラトニック・ラブ




1メートルほど空いた距離。


まるでその距離を埋めるかのように手が繋がれている。



「………」



〝夜中抱きついてたらごめんね〟なんて嘘だったんだ。



あたしが風邪をひいているせいかもしれないけど、迅はあたしにくっつこうとはしていない。


むしろ体を向こう側に向け、向き合わないようにしている。



どうして手を繋ぐの…?



突き放すなら思いっきり突き放せばいい。


一生手が届かないように遠ざければいい。



この関係がもどかしい。


この距離にしても何にしても、全てに関してもどかしい。



「………っ」



気づけば迅の背中にくっついていた。


抱きつく、なんて大胆なことはできなかったから、手を胸の前にしたままピッタリと迅にくっついた。



熟睡しているのか、あたしがくっついても気づかない。




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