プラトニック・ラブ
「熱は? 歩いても平気なの?」
そう言ってあたしの額に手のひらを添える海さんの表情は本当に心配してる。
その表情に、どこかホッとしてる自分がいた。
海さんのその一切飾っていない性格のせいなのかもしれない。
他の人だったらこの手を振り払っているに違いない。
こういう人を〝怨めない人〟だというんだと思った。
「瑠璃ちゃん? 頭痛い?」
不安そうな顔で覗き込んでくる海さんに、あたしはニッコリと笑いながら、
「平気です。 熱は下がってるんですよ」
そう言った。
「そう。 良かった」
「本当は今日、学校行けたんですけどね」
心が痛い。
海さんの笑顔が辛い。
あまりにも真っ直ぐすぎて、突き放すにも突き放せない。
突き放そうという気すら起こさせないのが海さんマジック。