プラトニック・ラブ
だから嫌いになりたくない。
なのに、だんだん心が黒に染まっていく。
押さえ込めないほど急速に染まっていく闇みたいな〝黒〟がコワい。
自分の心がコワい。
「………っ」
部屋に戻りたくない。
この家にいたくない。
あたしは急いで靴を履くと、一目散に家から飛び出した。
いるかも分からないお母さんがいる家へと向かう。
正直勝手に入っていいのか迷ったけど、今のあたしにそんな余裕なんてなかった。
誰かの顔が見たい。
そうすれば一先ず落ち着けると思うから。
誰か…。
このまま1人ベットの上に蹲っていたら涙が出てきそう。
あたしはコッソリ脇の小さな扉(といっても通常の玄関の扉サイズ)の前に立つと、靴を隅に置いてコッソリと侵入した。
…何だか泥棒にでもなったかのようだ。
どこに繋がっているのか分からない、けどどこかしらには繋がっているだろう廊下を抜き足差し足で進んで行く。