プラトニック・ラブ
あたしは深谷の気持ちに答えることができなかった。
だからこの話はしたくなかったのに。
奥まで突っ込まれるのがコワい。
どう言葉を返したらいいのか分からない。
迅のことは言えない。
もし変なことを訊かれたら口篭ってしまう。
どうしよう…。
三山は再び手すりに肘を付くと、前を向いたまま言葉を出すことができないあたしの代わりにでもなるかのように言葉を続ける。
「深谷のことは嫌い?」
「…嫌い…じゃない」
なんとなく予想はできる。
美沙と三山は付き合ってる。
だからあたしと深谷が付き合うことになれば一石二鳥とでも思ってるんだろう。
そうだったらいいのに。
深谷のことを好きになれればいいのに。
でもなれない。
なれそうにない。
だってこうしている今だって、早く迅に会いたくてしょうがないんだから。