プラトニック・ラブ
「ほら、そろそろ戻ろ」
三山はあたしの頭を叩くとそう言って扉を開け、甘ったるい匂いが充満する空間に消えていった。
あたしはそんな三山の背中を見つめ、でも今この状態で行ったら表情でいろいろバレると思ったから、もう少したったら戻ろうと思った。
冷たい風が吹くと少し肌寒い。
迅に抱きしめてほしいという気持ちが増幅する。
〝会いたい〟。
そう思えば思うほど会いたくなるのだどうしてなのだろう。
―――ガチャ
扉が開く。
出てきたのは中年のオジサン。
そろそろ戻ろう。
そう思って視線を下げたときだった。
一瞬だった。
目の端に映った。
「え…?」
信じられなくて、あたしは手すりに手をかけると身を乗り出した。
な……んで…。