プラトニック・ラブ
それでも迅が海さんと一緒にいるところを見てしまうと胸が痛む。
やっぱり迅が好きなのは―――海さんなのか…。
迅の行動1つ1つで一喜一憂したくない。
けれどしてしまうのが現段階のあたしだ。
だって気づいてしまった〝好き〟に抗えそうにないんだ。
2人でいるのを見てしまうだけで胸が痛む。
涙が溢れてきそうになってしまう。
何を渡そうとしているの?
どうして2人で街にいるの?
どうしてどうして?
絶対聞けない。
「ちょっとお嬢さん危ないよ」
おじさんに声をかけられ、あたしは弾かれたように顔を上げる。
そして慌てた声で返事をした。
「あ…っ…はい…大丈夫です…」
言葉を濁し、俯いたままそう言うと、慌ててその場を後にした。