プラトニック・ラブ




それでも迅が海さんと一緒にいるところを見てしまうと胸が痛む。



やっぱり迅が好きなのは―――海さんなのか…。



迅の行動1つ1つで一喜一憂したくない。


けれどしてしまうのが現段階のあたしだ。



だって気づいてしまった〝好き〟に抗えそうにないんだ。



2人でいるのを見てしまうだけで胸が痛む。


涙が溢れてきそうになってしまう。



何を渡そうとしているの?


どうして2人で街にいるの?



どうしてどうして?



絶対聞けない。



「ちょっとお嬢さん危ないよ」



おじさんに声をかけられ、あたしは弾かれたように顔を上げる。


そして慌てた声で返事をした。



「あ…っ…はい…大丈夫です…」



言葉を濁し、俯いたままそう言うと、慌ててその場を後にした。




< 636 / 800 >

この作品をシェア

pagetop